工場の労災対策、何から始める?
転倒・腰痛・高年齢労働者対策を工場長向けに解説
「安全対策を続けているのに、転倒災害がなくならない」「50代・60代の従業員が増え、高年齢労働者への対策が必要になってきた」「腰痛や転倒による休業が発生すると、現場の人員配置に影響する」——製造業の工場では、こうした労災対策の悩みが増えています。
設備の安全対策やKY活動、安全教育などを実施していても、転倒や腰痛などの労働災害を完全になくすことは簡単ではありません。なぜなら、労災リスクには設備や作業環境だけでなく、働く人の身体機能も関係しているからです。
本記事では、工場における労災対策の課題と、特に高年齢労働者の転倒・腰痛を防ぐために考えたい「人側のリスク」について解説します。
工場の労災対策を一歩進めませんか?
製造業・工場で労災対策が難しくなっている理由
工場ではこれまで、危険箇所の改善・機械設備の安全対策・作業手順の見直し・KY活動・ヒヤリハットの共有・安全衛生教育・安全パトロールなど、さまざまな労災防止対策が行われてきました。こうした対策はもちろん重要です。
一方で近年、工場の安全対策を考えるうえで無視できなくなっているのが、「働く人の高齢化」と「身体機能の個人差」です。特に転倒や腰痛などは、設備・環境だけを改善すれば防げるとは限りません。
工場長が抱えやすい労災対策の5つの悩み
転倒対策をしているのに、転倒災害がなくならない
床の段差解消・滑り止め・整理整頓・照明改善・安全靴の導入——環境改善を実施していても、転倒する人としない人がいます。その違いの一つが身体機能です。
高年齢労働者が増えているが、具体的な対策が分からない
50代・60代のベテランが現場の要になっている一方、年齢とともに筋力・柔軟性・バランス能力・関節可動域は変化します。「高齢だから危険」と一律判断するのではなく、「今どのような身体状態か」を個人別に確認することが重要です。
2026年の努力義務化に、具体的にどう対応すればいいか分からない
法改正を把握してチェックリストも確認した。でも「うちの工場では具体的に何をすればいいのか」が見えない。重要なのは、現状把握 → リスク特定 → 対策 → 効果確認、という流れをつくることです。
腰痛対策をしても、従業員の腰痛リスクが見えない
作業台の高さ変更・機械化・姿勢見直し・ストレッチ——作業環境の改善に加えて、「その作業を行う人がどのように身体を使っているか」という視点も重要です。例えば股関節が動かないことで腰を過剰に使っているケースがあります。
安全教育をしても従業員が「自分事」にしてくれない
「転倒に気をつけましょう」という呼びかけだけでは行動が変わらない。理由の一つは、本人が自分自身のリスクに気づいていないことです。身体機能を測定し「自分は思ったよりバランスが崩れやすい」と数値で知ることが、自分事化のきっかけになります。
工場の労災対策に必要な「人側のリスクアセスメント」とは
設備については、危険箇所を見つける → リスクを評価する → 改善する → 再確認するというリスクアセスメントが一般的に行われています。では、働く人についてはどうでしょうか。
「以前より足が上がらなくなった」「身体をひねりにくくなった」「片足になったときにバランスを崩しやすい」「腰に負担がかかりやすい身体の使い方をしている」——こうした変化は、本人自身も気づいていないことがあります。
そこで重要になるのが、働く人の身体機能を確認し、事故につながる可能性のあるリスクを事前に把握するという考え方です。設備のリスクアセスメントと同じように、「人側」にもリスクアセスメントが必要です。
工場の転倒対策では「床・段差・設備などの外的要因」と「身体機能などの内的要因」の両方を見る視点が重要です。片方だけでは、防げる労災に限界があります。
健康診断だけでは「労災につながる身体機能」は分からない
企業では毎年、健康診断を実施しています。健康診断は従業員の健康状態を把握するために重要ですが、健康診断と身体機能の評価は目的が異なります。
- つまずきやすくなっていないか
- バランス能力が低下していないか
- 身体の柔軟性が低下していないか
- 作業時に腰へ負担をかけやすい状態になっていないか
こうしたことは、一般的な健康診断だけでは把握しにくい領域です。健康状態を見ることに加えて、「安全に働くための身体機能を見る」という視点を持つことで、これまで見えていなかったリスクを発見できる可能性があります。
詳しくは企業向け体力測定(身体機能測定)の解説記事もあわせてご参照ください。
バリュスポなら「働く人の身体機能」を可視化できます
バリュスポは、働く人の身体機能を測定し、これまで見えにくかった「人側のリスク」を可視化するサービスです。身体の柔軟性・安定性・姿勢・動作などを確認し、一人ひとりの身体状態を可視化します。単に体力測定を実施して終わることではなく、測る → 気づく → 変える → 効果を確認するところまでを一連の安全施策として実施できます。
測る
身体機能を測定し、現在の状態を可視化します。
気づく
測定結果をその場で確認し、自分自身の身体の特徴や改善ポイントを知ります。「自分は思っていたより身体が硬い」「バランス能力が低下している」という気づきが生まれます。
変える
一人ひとりの状態に合わせて、日常生活でも取り組める改善方法を提示します。
再測定する
一定期間後に再測定することで、身体機能がどのように変化したかを確認できます。
個人だけでなく「工場全体の労災リスク」も把握できる
バリュスポでは個人へのフィードバックだけでなく、測定データを集計することで、工場全体の傾向を把握することもできます。
- 50代以上にどのような身体的課題があるのか
- 転倒につながる可能性のあるリスクがどの程度存在するのか
- どの身体機能に課題を抱える人が多いのか
- 取り組み後にどの程度改善したのか
複数工場で実施すれば、拠点ごとの傾向を比較し、安全施策を検討する材料として活用することもできます。「安全施策を実施した」という評価から、「実施した結果、どのような変化があったのか」を確認できる安全管理へ変えていくことができます。
大規模導入の前に「小さく試す」という方法もあります
「興味はあるが、いきなり工場全体で実施するのは難しい」という場合は、最初から大規模に導入する必要はありません。
- 50代・60代の従業員
- 転倒災害が課題になっている部署
- 身体負荷の高い作業を行う部署
- 一つの工場・一つのライン
など、対象を限定して試すこともできます。まず一部の従業員で身体機能を測る → 課題を把握する → 改善に取り組む → 再測定するという流れを実施し、効果や従業員の反応を確認してから対象範囲を広げる方法です。
製造業での具体的な対策については製造業における高齢者の労災対策記事もあわせてご参照ください。
こんな工場は、一度「人側のリスク」を確認してみてください
以下のような課題がある工場は、まず働く人の身体機能という視点を加えてみることをお勧めします。
設備や作業環境への対策だけでなく、「そこで働く人の身体」という視点を加えることで、工場の労災対策はさらに一歩進めることができます。2026年法改正・高年齢者労災防止指針の詳細やエイジフレンドリー補助金の活用方法もあわせてご確認ください。
まずは自社工場の課題を整理するところから
「高年齢労働者対策として何をすればいいか分からない」「転倒対策はしているが、次に何をすればいいか分からない」「自社の従業員に身体機能測定が必要なのか知りたい」という段階でも構いません。
バリュスポでは、工場の年齢構成・これまでの労災・安全衛生上の課題・対象人数などを伺いながら、実施方法をご提案しています。まずは、自社工場にどのような「人側のリスク」がありそうなのか、一緒に整理してみませんか。